第44回講演(5/7ページ)
<メタボリックシンドローム>
肥満(内臓貯留型脂肪)、糖尿病、高脂血症(高中性脂肪)、高血圧の4つで、これをKaplanは「死の四重奏」といいました。
ウエストが男性は85cmですが、都会の人は4割以上がこれを満たしてしまう。
北海道の研究では26〜7%で、田舎のほうが、腹囲が狭い。
女性は90cmですが、これがどうしてこうなったかということはあまり知らないが、大阪大学の松沢先生が根拠から決めてようです。
血圧は130または85ですが、以前は血圧は上が160、下が95以上が高血圧といったのですが、今は上が140、下が90以上です。
ですから非常に厳密になってきています。
これは根拠があります。
しかし、メタボリックシンドロームはもっと厳しいんです。
上が130、下が85以上となっています。
それから、空腹時血糖が110で、中性脂肪が150で、善玉コレステロールが40未満となっています。
このうち、3つのうち2つあるとメタボリックシンドロームだということです。
ただ、これを正確に当てはめてしまうと、都会だと40%近くがメタボリックシンドロームだということになる。
これは内科学会の基準ですね。
これは国際糖尿病連合の基準です(スライド)。
どちらが良いかというと厳しくしておいたほうが良いと思います。
男性のほうが圧倒的に冠動脈疾患が多いんです。
ですから、厳しくしておいたほうがいいですね。
国際的にみると女性のほうが多いんですよ。
女性はそんなに突然死はないんです。
しかし、腹囲が85cmというと、50歳を超えると中々難しいんですよ。
(スライド)これが脂肪の溜まるところで、CTで輪切りにするとすぐにでてきます。
外側が皮下脂肪で、中の白いのが内臓脂肪で、これが多いほうが悪いんです。
男性はこれが多いんです。
女性の場合は、女性型皮下脂肪が多いんですが、中がわりあい少ないということです。
男性の場合は皮下脂肪は少ないが、中が多い。
中が多いほうが何故悪いかというと、外の脂肪と中の脂肪とでは悪さをする度合いが違う。
(スライド)メタボの増加の背景ですけれども、高コレステロール、尿酸などあるが、高血圧は段々下がっているんです。
これは、我々の国はラッキーなことに高血圧と心臓の薬というのは大体共通しています。
血圧を下げる薬は心臓も保護するんですが、血圧を下げるということは脳卒中を非常に減らしている。
ところが、心臓のほうは血圧だけがリスクではないので、心臓は血圧を下げただけではだめなんです。
ですから血圧は下がっているが、肥満とか、コレステロールとか、こういうものが増えていますから、結局心臓病は減っていないです。
脳卒中、脳出血は非常に減っています。
脳梗塞は少し増えていますけれども。
(スライド)これが脂肪なんです。
普通の体重者の脂肪で、非常にきれいですよね。
間が空いていて、きれいです。
これは電子顕微鏡の写真ですが、ところが、高度肥満の方の場合は大小さまざまあって、何となくこちら(普通体重者)に比べるとスマートじゃあないですよね。
またこういう小さい細胞が大きくなっていくんです。
大きくなると動脈硬化を促進する色々なホルモンが出てくるんです。
(スライド)アディボネクチンといってこれはいいホルモンで、動脈硬化を予防するホルモンです。
こういう場合には、いいホルモンが出ています。
大型脂肪細胞になると悪いホルモンがでるようになる。
脂肪組織も色々な性格があり、小型脂肪の場合にはアディポネクチンといって動脈硬化抑制するホルモンを出してくれるが、肥満の大型脂肪になると、内膜を傷つけるホルモンなど、悪いホルモンを出す。
脂肪といえども、昔はエネルギー源だと思われていたものが、色々な分泌異常によって最近ではこのように悪いホルモンを出すことがわかってきた。
本日の大事なところをお話します。
来年4月から健康保険の指導法が厚生労働省の指示によって違ってきまして、これからは保健指導では腹囲を測定して、運動療法が必ず出てくる。
なるべくならメタボリックシンドロームで医者にかかる前に改善させてしまう。
つまり厚生労働省の考え方はお金を使わないで職場、職場で早めに対応してもらおうということなんです。
<METs>
(スライド)METs(メッツ)は座って安静にしている状態の運動強度で、つまりじっと座っていると1METsなんです。
普通に歩いたのが3METsなんです。
早く歩くと4METsです。
厚生労働省いっている「1Ex」は、1運動とでもいいますか、METs×時間です。
安静にしていても、1時間安静にしていても1Ex使っていることになる。
普通歩行が3METsですから、複数歩行を1時間やると3METsということなる。
厚生労働省は1週間に23METsやってくださいといっています。
2000歩20分なんですよ。
だから2000歩、歩くと約20分。
そうすると、20分歩きますから、普通の歩き方で、[3METs×20分(1/3時間)]となりますから1エクササイズ(Ex)したことになる。
3時間やると[3METs×3時間=9METs]と言うような計算をしていくんです。
エネルギー消費はカロリーでという場合には、体重をかけると自分が消費したエネルギーが出てきます。
私たちは歩行、運動で300Cal減らしたい。が、運動で減らすのは大変です。
例えば、体重80kgの人が普通歩行を30分した場合、[3METs×0.5時間×80kg×1.05=126Cal]となりますが、30分歩いても126Calしか消費しない。
しかし、普通何もしなくても減っていますから、普通に歩くと300Calくらいはいくと思います。
運動で300Cal減らして、食べるもので200Cal減らすと、大体2週間で1kg減るんです。
厚生労働省は、身体活動は週に23Exやりなさいとの考えですから、そのうち普通の歩き方だけではダメですから、少し運動入れなさいとのことで4METs、早足で歩く。
そして段々腹囲を減らしなさいということです。
腹囲を1cm減らすということは、大体体重1kg減らすことですから、7000Calだということです。
7000Calですと、1日300Calで24日かかりますが、食べるものを減らしていくと500Calくらいになり、大体2週間くらいで減っていく。
厚生労働省はこのような指導をしています。
ですから、みなさんはエクササイズという概念を持ってほしいと思います。
つまり、普通は1時間3Exですから1週間、7日間で21Exとなりますから、ほぼ厚生労働省の言っていることに等しくなる。
1時間歩けばよいのです。
これを1METsにするには、普通の歩き方は20分、早く歩くのであれば15分。
階段を上るのであれば10分やれば1METsになります。
普通の歩き方で、20分で1METsです。
1時間歩けば1週間で21METsいきますから、このくらい歩けばいいと思います。
第44回講演(6ページへつづく)
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