第41回講演(3/4ページ) あとは人間ドックとか健康診断を受けるとBMIという、体重を身長の二乗で割ったものがどれくらいあるか、と同時に理想の標準体重に比べて実際どれくらいあるか、体重も問題になってくる。 これだけ溜まる内蔵脂肪がどのような悪さをするのか。生活習慣病、高血圧、糖尿病、高脂血症はとにかく内蔵脂肪だ。これで様々な病気が引き起こされて、それがメタボリックシンドロームになる。 中性脂肪のトリグリセライドというのがある。データに基づいて、一応150を越さない程度にコントロールしようというのが今の通常の人間ドックのデータの判定だ。 HDLコレステロールは善玉だ。前述のコレステロールとは逆に多い方がいい。善玉が減れば減るほど心臓の病気になる確立が増えというデータとなっている。善玉は40以上欲しい。40を切る場合はかなり冠動脈疾患の発症が高くなってくるので危険ということになる。 血管が詰まるとはどういうことか。血管の中には血球成分、赤血球とか白血球とか、血小板がある。血液サラサラ状態の時はこれらがきれいに分かれて流れているが、前述のような内臓脂肪があってメタボリックシンドロームになって血管の内側に動脈硬化ができてくる。そうすると、そこを流れる成分が通りにくくなり、さらに血小板がギザギザしたところにぶつかって血小板が活性化されてしまう。そうすると血小板がドロドロになって血小板同士がくっついたり、白血球にくっついたりして塊をつくる。 これは実際に患者の静脈血を採って顕微鏡でみたものだ。血小板凝集した状態がわかる。ちなみに、この患者は睡眠時無呼吸といっていびきが大変で、いびきだけならいいが、夜、寝ている間に呼吸が止まる。 心臓には心臓自体に酸素を運ぶ血管があって冠動脈という。これが狭くなると狭心症。詰まると血液が流れないから酸素が運ばれなくなって心筋梗塞になる。 では、生活習慣病はどれくらいいるか、厚生労働省が発表した。2005年4月のデータで我が国におけるメタボリックシンドロームの発症率は、高脂血症の有病者は3000万人で予備軍はわからない。高血圧は3100万人で予備軍はさらに2000万人いる。糖尿病は740万人プラス予備軍が880万人いる。 普段から血管が詰まらないような生活習慣を守る必要があるわけで、くどいようだが血液サラサラがドロドロになって血小板が詰まってしまうと、このようになってしまう。 2005年の朝日新聞の記事で、40歳以上は全員健康診断を受けてもらいたいと。とにかくの生活習慣をなおして病気にならないように予防しなければいけないということが叫ばれ始めている。従って予防医学のターゲットはメタボリックシンドロームだということになる。 ウエストの周囲計が男性85センチ、女性90センチ以上はよくない。内臓脂肪が男女とも100平方センチメーター以下。中性脂肪が150以下。特に善玉コレステロールHDLが40を下回ってしまうのはよくない。血圧は上が130、下が85を超えないようにする。空腹時の血糖値が110を超えないようにと定義されている。 (プロジェクターで投影されたグラフを指して)経済的な話をすると日本の人口構成は2005年は14歳以下がこの辺、一方15から64歳の働ける年齢がこの辺を占めていて、65歳以上がここになります。
医療費の将来推計、国民医療費の国民所得に占める割合だが、今から比べて2025年には医療費の割合が倍になって、老人医療費が約50%。国民の所得に占める医療費の割合が今の2倍になり、その半分を65歳以上の老人が占めるということになる。 そこで、東海大学東京病院は抗加齢ドッグを開始した。これはどのような使命をもつか。医学部をもつ総合大学として大きく高齢化社会に貢献したい。国策となっている予防医学に積極的参入を行う。病気になった人を助けるのではなくて、病気に陥らない支援を各方面の専門家と協力し合って提供する。 東京病院は1984年の12月に伊勢原に次いで第二の付属病院として発足し代々木に位置し、駅から5分。各科がある。人間ドッグの年間受診者数は1300人以上という状況にある。 検査項目として、 普段、サプリメントを飲んでいるかも知れないが、本当にそのサプリメントが必要なのかがわからない。例えば友人が飲んでいて「調子がいいからどうぞ」ということもあるかも知れないし、何となくビタミンが足りないので飲んだほうがいいとか。 人間は200や300歳迄は生きられないが、このデータに基づいて生物学的に言われる120や125歳くらい までを目指すには、いま何を注意するかを具体的にお話しさせていただいている。 福岡県で1978年から79年に行われた住民検診で男性396人、女性544人の血中濃度を測定した。昨年、2005年に同じ人について、その人たちがどのような経過を辿ったかの調査で、男性は8割が生死が判明し、検診時の血中濃度を高い、低い、その中間と単純に別けたところ、DHEAが高い人は低い人に比べて死亡率が8割高いという、とんでもないデータがでたようだ。女性は女性ホルモンの影響などで濃度と寿命の間の関係はでなかったそうだ。 どういうことかというと、成人男性の血中濃度を測定すれば、その人のおおよその概算寿命を算出することが可能ではないかということがいわれ始めていて、欧米ではこのデハイドロエピアンドロステロン(DHEA)が若返りの薬としてもてはやされて、補充療法なども行われている。 昔から、こんなものを測定していたのかと考えられるが、私たちの推定では1978年から79年にDHEAのことをやっていた人はいないので、多分血液が保存されていて、血清保存されていたものを使って、このようなホルモンを調べたのではないかと思う。このようなものを調べると、その人が現時点でだいたいどれくらい生きられるかのデータがとれてしまう時代になっているということを、一応お知らせしたい。 東京病院では受診者に技師長が検査の説明をして、全部にコンシェルジュが付き添う。特別な食事をとっていただく。これを私たちは抗酸化御膳といって、五穀ごはんがあって、肉もあり、豆腐もあり、吸物、サラダがついて、デザートがついて、これで690カロリーくらいだ。 第41回講演(4ページへつづく) |