第37回講演(4/6ページ)
今、日本とアメリカで中小企業、ベンチャー企業を育成するシステムに大きな違いがあるのか、あるいは結果として例えば日本の中に生まれてくるベンチャー企業、アメリカの中で生まれてくるベンチャー企業で、どれくらい生まれてくる率が違うのか。 ベンチャー企業は次々と生まれ、そして倒産していくものもあるが、小さな芽が大きく育って大企業になっていく例もたくさんある。その代表的な例が、マイクロソフトだ。今、我々がパソコンを起動させると、最初にウィンドウズという言葉が出てくる。パソコンの中に内蔵しているソフト、これを作っているのがマイクロソフトだ。会長はビル・ゲイツ、年齢は確か私と同じと思う。彼はハーバード大学を3年生で中退をし、今、イチローが所属するシアトル・マリナーズ球団があるシアトルでマイクロソフトは開業している。 1976年か1977年に最初は3人で始めた。それが今や、全世界で雇用者数が、確か8万人を誇る大変な会社に成長している。ベンチャー企業の中でもっとも成長した企業といえるかもしれない。3人でスタートした企業も、個人でお金を投資した投資家が実はたくさんいる。まさにこれがアメリカの成長の原点であるといる。これに対して日本の場合には、1990年代の開業率は4.5%で、100社あれば4.5社、1000社あれば45社が新たに生まれる。開業率だけでいうと、アメリカのほぼ3分の1になっている。 日本にもベンチャー企業のための株式公開市場として、東京証券取引所に東証マザーズ、大阪証券取引所にはナスダックジャパン、現在はヘラクレスと名前を変えているが、ベンチャー企業のための株式公開市場が作られている。今現在、株式を公開している企業の数は多くはない。マザーズとヘラクレスに上場している企業の数は、今年の8月末時点で260社ある。 アメリカの場合、株価がついている企業はどれくらいあるか。アメリカの場合はニューヨークダウという言葉が使われている。ニューヨーク証券取引所が一番有名だが、ニューヨーク証券取引所だけではなくて、アメリカン証券取引所やサンフランシスコ証券取引所など全国に7つの取引所があり、2002年時点で登録されている企業は、3,300社ある。有名なところではナスダックというベンチャー企業のための株式上場市場で、6,900社が上場されている。しかし、アメリカで株式に価格がついている企業の数は、証券取引所、ナスダックに上場されている企業だけではなくて、店頭取引市場とか、ピンクシート市場、更には最近ハリケーンが上陸したニューオリンズなどの地方都市、いわゆるローカルマーケットといわれているところがたくさんある。ローカルマーケットで、店頭・ピンクシート市場で取引されている企業が7,700社、ローカルマーケットで10,000社となり、全部で約28,000社の株式に価格がついていることになる。逆にいうと、28,000社の株式の売買を行うことができる。 価格が自動的につくのはあくまでも証券取引に上場されている企業だけで、自動的につくわけではない。例えば店頭市場、ローカルマーケットでは証券取引のような市場ではないので、基本的にはローカルマーケット、例えばニューオリンズだけのマーケット、ボストンだけのマーケットと、エリア的には狭いがその中で価格がつく。日本でいうところの証券会社がその企業の株価がどれくらいであるかということを、気配で示していかなくてはいけない。 アメリカの場合には、信じられないくらいのたくさんの中小証券会社がある。そのような中小証券が生き残りをかけて、企業の気配値を計算している。計算して、インターネット上に価格として流すことをやっている。日本でもようやくインターネット上で株の売買を行えるようになったが、アメリカの場合には、ほとんどインターネット上と考えて結構だ。証券会社の窓口へ行って株の売買をするという人はほとんどいない。 第37回講演(5ページへつづく) |