第21回講演(3/4ページ)
ホテルの予約の例ですが、これは、プロバイダーにつなげば簡単にできます。お客さんがプロバイダーを通してアクセスすると、画面に予約の申し込み書が出てきて名前と電話番号などを入力します。その後、プロバイダーが処理をして、そのホテルの予約センターに申し込んでくれます。そして、ホテルの予約センターが受け付けて予約が終わったらインタネットでメールが来るという仕組みです。自分で手続きをしなくてもプロバイダーがやってくれます。これは、NOC(ネットワークオペレーションセンター)というところで、ホテルが幾つも集まってこういうサービスをやっています。
次は文教堂という所でやっているサービスです。イトーヨーカドーとか宅配便の佐川急便などが、本の販売をインターネットで受付けて届けるというものです。インターネットで書籍を購入できる仕組みは、まず、お客さんがインターネットで注文をします。そうすると文教堂の所へ入って、それから取次店に発注が入って、取次店に在庫がなければ出版社へ入って、そして商品を物流会社へ持っていきます。物流会社には出荷指示が出ていますからそれに従って宅配するんです。
それ以外に、最近は近くのお店に届けておくのもありますから、お金を持ってそのお店に取りに行く。それがセブンイレブンなどがやっている仕組みです。近くのコンビニで商品を預かって、現金と引き換えるんです。他の決済は、クレジット会社と決済して、プロバイダーが全部処理してくれます。
それで、最近この手の「ビジネスプロセス特許」というのがあって、特許をとってしまうと、他は真似できない仕組みにしてしまうんです。つい最近、インターネットを使った時に「従量制」要するに何時間使ったからいくらお金がかかるという、これをアメリカでビジネス特許を取った人がいる。それが特許になるのはおかしいと思うのですが、それで今「ほとんどの大手のプロバイダーが違反だ、金をよこせ」という事でもめています。
これからインターネットで何かをやっていて、商売の流れとかいいアイディアがあったら、ビジネスプロセス特許を取っておかないと、すぐ真似られたり、他が特許を取ってしまって自分がやれなくなってしまったりするので気をつけて下さい。
その他に通信販売関係で、例えば、ショッピングで使う商品券や食事券のチケットばかり扱っているサイト、ホームページもあります。そういうところへ行けば、いくらでもチケットがあります。
神田の近くの中華屋さんやちょっとした飲み屋さんがインターネットで「自分のアドレスを教えると50円引き」とか「インターネットで予約をすると5%引き」というサービスをやっています。一般の飲食店までがインターネットを使っていろんなことをやり始めています。
それから、インターネットを使ってのオークションがあります。楽天市場というサイトは、私が「中古の車を売りたい」と出すと、皆が「いくらで買う」「いくらで買う」とくるわけです。それで、1週間から2週間で、いちばん高い人の所に落ちてしまう。ただ、それをやっているだけなんです。ですから、楽天市場が買って売っている訳ではなく、第三者同士がやり取りしているんです。そこで、お金を払ったはいいが品物が届かないという様なことがあって問題になっています。
オークション以外にも「ディスカウントの航空券でどこそこからどこそこまで何時に行きたい」と、いちばん安いところを見つけてくれたりする。そういうのもあります。アメリカだと自分の家を建て替えたり、売る時でもインターネットでオークションにかけたりします。
インターネットを使うと誰とでもやり取りができるわけですが、その中でここは自分だけだと、専用線を使ったバーチャル・パーソナル・ネットワーク(VPN)という「個人の専用線」機能があります。そこには、よそから入ってこようとしても入ってこられないという仕組みなんです。皆さんがもし企業の中で、例えば本社とか営業所とかをネットワークをつくったり専用線を引こうとしている時には、わざわざ専用線を引くよりは、VPNなどの機能を使ったほうが安くすみます。
これは大林組のVPNを使った例です。全国に800ヶ所の小規模の工事事務所がある。工事事務所とはある期間しか使わない訳ですから、専用線を引いてどうこうするという訳には行きません。そういう時に、VPNというインターネットを専用線のように使って、個々のメールとか事務処理を含めてのデーターのやり取りをしています。
次はEDI、先程データー交換という話が出てきましたが、そのサービスの話です。だいたいのプロバイダーはこういうことをやっています。
例えば、発注する企業と取引をしている企業があり、インターネットを通じてデータのやり取りをします。取引先はたくさんあるわけですから、インターネットVPNサービスを利用すると、そこでデータの振り分けをしてくれます。コンピューター同士が幾つかつながっていて、こちらが発注システム、こちらが経理システム、こちらは受注システムと、人が介在しなくてもコンピューター同士がやってくれる訳です。小さい会社でもパソコンで注文が幾つ来たとかの管理はこういうサービスを利用すればいくらでもできます。
EDIは何でもかんでも異業種がやっているかと言うとそうではなくて、業種ごとに伝票や商品コードとか色々なことが違いますから、同じ業種ごとにやっています。
それで、建築業のEDIの例をお話します。建築の場合は土木と違ってちょっと特別なことがあります。データーをやり取りする中で、CADの図面をやり取りするというのがあります。そうすると、CADは一般的にオートCADソフトが一番多く使われていますが、それ以外にもたくさんソフトがある訳です。そうすると、ワープロで言う一太郎で書いたものをNSワードで読んだとして、違うプログラムを使っているところとデータのやり取りをするのは非常に難しいんです。
そこで、この建築産業におけるネットワークでは、ある一定のルールを設けてその中で全部直すわけです。つまり、世界標準語みたいなものです。日本語だったらその中で世界標準語に直して、韓国だったら韓国語にまた直すという様に、皆さん変換ソフトを持ってネットワークに参加するという形をとっています。
EDIはこれからものすごく進んでくると思います。例えば、大手企業は自分のところのEDIでやれと言ってきます。ところがその方式が全部違うんですね。それを受けて、コンピューターとつながないといけないので、ちょっと大変なところがあるんですが、これから少しづつよくなっていくと思います。それで、そのEDIに参加をしていないと、取引をさせてもらえないという時代がきています。
インターネットのホームページで「情報発信」と言いますが、私から見ると何も情報発信しているわけではないんですよね。サーバーの中にデータを入れておくだけで、見にきた人だけが見られるというだけの、誰もプッシュ型で見せている訳ではないんです。それがいけないということで、会員の人にダイレクトメールみたいに自動配信でプッシュ型で送るということをやっている企業もあります。
それからインターネット放送で、カメラを据えて映像を見せています。例えば、JRでどこかの駅を建設するとします。24時間カメラで撮って放送すると、インターネットで「ああ、今ここができたんだ」というようなことがわかったりします。
火山の噴火も24時間、インターネットで見ようと思えばかなりのことが見られる時代になってきている訳です。
放送がデジタル化になったのと回線が太く速くなったということです。放送が地上波、電波で来るのと衛星放送とかCATVだけではなく、インターネットを通して放送を見るのが増えてくると思います。
第21回講演(4ページへつづく)
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