第17回講演(3/4ページ)

 

●潜水艦、ミサイルまでも判明する精度
 衛星からは秘密が守れなくなった話をしましたが、どのように衛星の情報が手に入るかというと、当時のレニングラードの郊外のABMの基地、弾道弾に対する迎撃ミサイル基地が当時からはっきり分かっていたわけですね。
 その次に例を挙げると、ロシアの北にコラ半島があります。北極の方から海水が入り込んでいます。この一部を、衛星から撮った写真の中におかしなものがいるぞ、ということになったんです。東海大学とシークリーというストックホルムの平和研究所と、米国の地図をつくる部所の人と、西ドイツ、オランダで平和戦略の研究シンポジウムをやった時に、ある一点に興味をもったんです。
 一体何なのか、みんなで考えようと解析を始めました。さらに写真を拡大してみると、多分船だということが分かりました。そしてそれを計測してみますと、大きさもはっきりして潜水艦であろうということになったんです。潜水艦基地ですから当然ですが、このくらいの潜水艦で一体何があるのか色々議論をしました。2万5,000トンのものすごいデカイ潜水艦、タイフーンです。しかもミサイルをたくさん積み込んでいます。20発積み込んでいます。こういうことが分かってきます。そうしたらその時、ロシアの連中がいて「どうして分かったか」と言うんですね。そうしたらノルウエーの国立戦略研究所の人が「7隻のうちの1隻ではないのか」と言ったら、その通りだと言う。このくらいなら衛星で充分に分かってしまうんです。
 もう一つは時間をずらして1、2年おいて同じ場所の写真を撮り、重ねます。すると差がでます。その差が出た所が新たに開発された場所ということになります。コラ半島の基地も開発されたことがはっきり分かります。
 また、同時にソ連の連中にも「そちらでも衛星を打ち上げているから、そちらのデータはどうなんだ」と聞いたらやっと出してきました。日本に関するデータです。羽田飛行場で滑走路も飛行機も見えています。この衛星で充分判別できます。軍事用ではないので解像度はそんなによくないのですが、それでもかなりの部分がはっきりと分かります。

 

●北朝鮮の核施設も隠せない
 北朝鮮の核施設も東海大学の情報センターで画像解析したものです。半島の真ん中に開発されている所が分かります。原子炉が分かります。しかも発電用ではなくてプルトニウムをつくるそのための原子炉です。核燃料工場も見えています。このような施設があることが分かってきます。その結果、米国でも査察をしようということになったんですが、なかなかできません。
 このように、ある程度衛星で判別できます。この他に最近では地下のサイロがあるとかで、衛星に見られないように地下にどんどん入れています。
 このように衛星でいくつか判別ができる例を挙げましたが、これは商用衛星ですから解像度が20メートルくらいです。20メートルより小さいものはなかなか見えません。ところが20メートルより小さいものを見るには軍事用で大体1メートル以下の解像度でないとだめです。そういうためには高い所からだと解像度がどうしても落ちます。そこで、衛星を対象物に近付けて写す手段が講じられます。アメリカのビッグバードという軍事衛星で撮るとはっきりと出てきます。1984年のロシアの造船所、建造中の船まで分かります。ここまで分かると何も隠せないということになります。
 衛星そのものが力を持つことは軍事的な意味でも大きなものになりつつあるわけです。
 最近問題になっているのが北朝鮮のロケットです。ロケット打ち上げの所も分かっています。東に向けて打ち上げたんですが、これがミサイルなのか人工衛星打ち上げの実験なのか、いまだに議論され結果がでていません。確かにロケットは東に向かって打つ。しかも日本海を飛び越えて太平洋にまで到達した。これが大変問題とされました。と言うのは今までロケット開発、ミサイル開発を含め実験のための打ち上げは、みんな自国の上空を通って実験をしています。これですと国際的問題になりません。ところが北朝鮮は完全に日本の領空を飛んでいます。こういう時は前もって知らせるのが国際的常識になっている、これもやらなかった。それで大変な問題となりました。
 ではどこから打ち上げたかというと、カルビン、テポドン、ノドンという所があります。ノドン1号はこの地名からとっています。
 こういう所にいくつもの基地があります。そこから打ち上げます。昔からこの地域は何だか分からない電波が出る。飛行機は特にナビゲーションが狂うので気をつけるようにといわれた地域です。それが最近になってはっきりし始めたということなんです。
 このことは日本にとって大変な脅威です。日本も何とかして衛星を打ち上げて、偵察衛星ではなくても、情報衛星ということにして、名前は違いますが目的は同じです。
 軍事的な情報を含めて、自分の手で情報を得よう、画像をつくりだそうという声が国会でも非常に大きくなっています。
 3億6,000万円の調査費が、今年付いたんではないかと思います。そのために米国に調査団が行って状況を見てきています。米国は充分にシステム化されています。米国の軍事衛星は各地域をきちんと睨んでいます。
 国家偵察局というのは初めて聞くと思いますが、国防省とCIAが共管してつくっている組織です。最近は全世界を見ていますから日本の状況、例えば台風とかの天災も含めて全部把握しています。
 それからノラッドというのがあります。これは北米航空宇宙防衛司令部がカナダと一緒になって、北アメリカに外国からICBMその他の攻撃を受けることを未然に察知して処置しようというものです。また、衛星をつくる会社もロッキードとかたくさんあります。偵察、画像、あらゆる衛星をつくっています。
 このように米国は衛星に対してシステム的にやっていますが、日本では全然ありません。宇宙開発事業団がちょこちょこ打ち上げて失敗している程度ですから、もっとちゃんとしたものをつくり、打ち上げるべきだという話がでてくるのは当然です。
 2002年度に4基の衛星を打ち上げようと日本では現在計画を進めています。この衛星にはレーダーと赤外線センサーを搭載することがだいたい決まっています。ただ、こうなるとこの衛星を管理するのはどこか。日本政府で管理するような所はありません。共同管理はいやがります。防衛庁は防衛庁で「自分のところは自分でやる」と言うでしょう。郵政省は通信に使えるからと、色々なことを言って各省庁は縄張り争いで大変です。結局、内閣調査室が中心になってこの衛星を一カ所でコントロールするようなシステムをつくろうではないかという声が段々出始めています。

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