第45回
2008.4.21(月) ホテル横浜ガーデン

東海大学教養学部
人間環境学科教授
内田 晴久先生


〈略歴〉
1981年 東海大学工学部応用物理学科卒
1983年 東海大学大学院応用理学研究科修士課程修了
     マックスプランク金属材料研究所研究員(〜1991年)
1987年 シュツットガルト大学化学科博士課程 理学博士
2002年 東海大学教養学部 教授

〈現在委嘱されている外部からの委員など〉
地域行政における環境関連審議会委員
(独)工業所有権情報研修館主宰の知財教育関連審議会委員、委員長

〈現在の所属〉
東海大学教養学部人間環境学科教授
東海大学大学院人間環境学研究科委員長
学長室次長、学長室/評価・連携室室長

〈専門分野〉
材料表面での気体反応に関する研究、資源リサイクル・エネルギー材料に関する研究
創造性教育としての知財教育に関する研究、その他

第45回講演(1/6ページ)

 

−くらしと環境−

 環境問題というテーマには大変広い意味がありますが、本日は私が人間環境学科、大学院で担当しています環境に関する授業、あるいは現代文明論で環境とエネルギーという講座などで扱うトピックスをもとに、「エネルギー」、「資源利用」、「持続可能な社会をつくっていくためのビジネスも絡めた知的財産教育」、この3つの視点で話をさせていただきます。

 

 

<はじめに>

 初めに、20世紀の世界のエネルギー消費は、20世紀後半、すなわち1960年代、70年代の高度成長期に急増しました。この時の需要に対して供給を担ったのは、いわゆる化石エネルギー、すなわち石炭、石油、天然ガスです。これは第二次世界大戦が終わって、世界が平和な時代を迎え、経済活動が非常に盛んになった時期に相当します。世界的金融市場、貿易等が活発になり、一気に経済発展してきた時期となっています。
 経済発展、すなわち高度経済成長期にエネルギーの消費が伸びたわけですが、21世紀に入ってもさらに増加しています。これは、先進国と呼ばれるアメリカ、ヨーロッパ、日本などの国々がエネルギーを消費していった20世紀に続き、今や中国やインド等の国々がその後を追っています。そしてその結果として、化石エネルギー資源に依存しているゆえに、大気中の二酸化炭素が増えてきています。大気中の二酸化炭素の量は、昨年、東京都内で400ppmを超える日が随分続いたようですが、今は毎年のように増加し、これが地球温暖化の原因であるといわれています。
 南極ボストークの氷床コア分析結果から推定される過去42万年のCO2濃度と気温の推移をみると、300ppmを超える時代はなかったようですが、300ppm近くまで上がっているところがあります。それが10万年から15万年の間で繰り返しピークを迎えて、また下がってきています。これをその時の気温と比較してみると、ほぼ同じような変化を示していることがわかります。
 確かに人類が化石燃料を使ってCO2を出して、それが大きな環境影響を与えているのではないかといわれているのですが、過去40万年の中で見てみると、どうも過去にも同じような状況があったということが想像されます。
 これをみてゴアさんが、「過去300ppmを超えたことがなかった。だが我々は今、一気にこれを超えようとしている。400ppmさえ超え、場合によっては700ppmまでいく可能性がある。」と言っています。

 

アルバート・アーノルド “アル” ゴア・ジュニア(Albert Arnold "Al" Gore, Jr. 1948年3月31日 生)アメリカの政治家の一人でビル・クリントン政権の副大統領を務めた(1993年〜2001年)。環境問題の論客として知られ、1970年代から地球温暖化問題について世界的な啓発活動を行っており、これが認められて2007年10月31日ノーベル平和賞を受賞した。

第45回講演(2ページへつづく)