第44回
2007.12.3(月) ホテル横浜ガーデン

東海大学医学部 循環器内科教授
田邉 晃久 先生


現職:東海大学医学部内科学系循環器内科教授
   東海大学付属病院診療部長
   同循環器内科科長
   同第二診療センター(循環器・呼吸器)長

1970年3月  群馬大学医学部医学科卒業
1970年4月  群馬大学医学部第二内科(鴫谷内科)入局
1975年3月  群馬大学大学院医学研究科終了(医学博士)
1977年4月  群馬県立前橋病院内科・成人病研究所医長
1977年12月 東海大学医学部内科学1(循環器内科)助手
1981年4月  東海大学医学部内科学1(循環器内科)講師
1985年3月  UCLA-Cedars Sinai Medical Center心臓電気生理学部門
    - 6月  (米国、ロスアンゼルス)
1988年4月  東海大学医学部内科学1(循環器内科)助教授
2002年4月  東海大学医学部循環器内科学教授、部門長
2005年4月  東海大学医学部付属病院診療部長          現在に至る

第44回講演(1/7ページ)

 

あなたも例外ではない、突然襲う心臓病の脅威!

<心臓性突然死>

 1億数千万人いる日本人は、毎年約100万人亡くなっていて、近年自殺等が増えてきましたが、その原因は、癌(悪性新生物)か、心疾患か、脳血管疾患か、肺炎です。
そして、心疾患はこのうち2番目に位置しています。
 この中で例えば、ジワジワ、ジワジワ亡くなって、ジワジワ、ジワジワ悪化して亡くなっている方が約半数いますが、あとの半数の方は、ある日突然亡くなってしまう心臓性急死です。
ジワジワ、ジワジワ悪化する方は、悪化する状態を先へ伸ばすことができますが、これは心臓移植までもっていかないとうまくいかない。
 しかし、突然死は防ぐことができます。
 これを防ぐと、後10年でも15年でも30年でも、全く問題なく普通の仕事ができます。
 その一瞬が大事です。
 その一瞬というのは、「ストレスが多かった」とか、「タバコをすわなければよかった」とか、「あんなに酒を飲んで寒いところへ出なければよかった」そういうことによって起こるのです。
 その一瞬さえ過ぎれば寿命はかなり、限りなくあります。
 その一瞬を大事にしてほしいと思います。
 とにかく、心疾患は突然死が非常に怖いもので、心臓性突然死というのは、予期せぬことが起こって1時間以内に心臓が止まってしまうことです。
 厚生労働省がいっているのは、あるイベントが起きてから24時間ですが、私たちの場合は一瞬を争いますから、それでは間に合わずに、1時間以内に本当に心臓が止まってしまう、それを心臓性突然死といっています。
 アメリカは25万人から30万人くらいいます。
 日本では大体7万人から8万人で、最近は少し増えているといわれています。
 原因は大多数が冠動脈硬化、我々の心臓は1日約10万回、限りなく打っているわけで、休みません。
 動脈硬化が起こると心臓に栄養がいかなくなってしまう。
 栄養がいかなくなって、そこが何らかの原因で詰まってしまうとそこで不整脈が発生したり、あるいは心機能が収縮できなくなって、そこで突然死してしまう。
 日本の突然死する人の8割はこれです。
 ここをうまく処置すると突然死は防げます。
 アメリカの今の人口は日本の2倍ですが、(突然死は)日本は1/2もなく、アメリカに比べると非常に少ない。
 最近は、今まではこの人は致死性の不整脈で助からないと思った方が、医と公の協力、あるいは医と医療業界の協力によって突然死を防ぐことができるようになった。
 しかし、予防することが大事であって、そこにいってしまった倒れた人を救うよりも、そこまでいかないことが良いことです。
 ともかく、寝たきりの寿命よりも健康寿命を長くすることが大事です。

第44回講演(2ページへつづく)