第40回講演(4/4ページ)
−スライド56〜63 写真の説明−
これは私が1962年に東南アジアを取材したときに、ネール首相と単独会見をいたしました。 これは、僕は29歳で若かったなぁと思っているのですけれども。
ここで私はさっき言いました大失敗をしたんです。
時々大学で講義をしますと「ネール首相」を知っているかというと、ほとんどの人が知りません。みなさんの年代は知らない人は一人もいないと思うのですけれども。
ただ、我々にとってはネール首相こそ、私にとっては「Statement」だと思っているんですが、インドの建国の父ガンジーと一緒に活躍した人なのですけれども、その人とたまたま単独会見の機会に恵まれました。
ということで、私は新人の記者だったわけですね。
僕はいつも言うのですけれども「I am not reporter, but porter」、つまり、「荷物運びですよ」と自己紹介をしていたのですけれども。当時はインタビューするときに録音テープと映像のカメラと別々なんですね。分離している。それを東京へ送って、一緒にして、シンクロさせて放送に出す。
私は当時、一番の新米の記者でしたから、インタビューは、通訳兼録音係で、ここに座ってやっていたわけですね。当時の録音機というのは、デンスケと称しまして、ゼンマイを巻いてテープを、録音をとっていたんです。ところが、インタビューしている間に夢中になっていて、私がゼンマイを巻くのを忘れていて、はっと気がついたら録音が止まっている。重要な、時の首相のインタビューを音なしでどうするんだということで、汗が出ました。それでどうしたらいいか?
どうしたと思います?
僕は汗びっしょりで、こっちに先輩の記者がいて「こいつ何やってんだ」というような格好でみるわけですよ。
「Prime minister, could you repeat again your answer?」と必死の思いで、恥も外聞もなく言ったのです。そしたらネール首相最初はなんだかわからない。ポカーンとして、「お前さん何言ってるんだ」という顔をしている。
でも僕の泣かんばかりの眼差しに気がついてくれて、そしてニッコリ笑って同じ答えを言ってくれて、私の番組は無事終わって、特ダネになったわけなんですけれども。
そして、最後に握手を交わした。その握手のぬくもり。僕はいまだにここに感じているわけです。一生の宝物として感じている。
だからというわけではないけれども、僕はネール首相が「Statement」であって、「Politician」ではないといっているわけですけれども、だめですか?だめではないですか?
ありがとうございます。
ということで、これをしゃべりだすと明日の朝までしゃべって、その辺から「やめろ、やめろ」と合図が飛んでしまいますので、やめます。
−スライド58−
これはスカルノです。その横にデビ夫人が多分いると思うんですけれども。
−スライド59−
これはベトナム戦争のときの私の勇姿です。
−スライド60−
これはラオスのプーマ首相で、その左が私です。
−スライド61−
これはマレーシアのラーマン首相。
−スライド62−
これはシンガポールのリー・クアンユー首相。これは、まだ労働党の党首で選挙のときにやっていたところです。下に構えているのが我々のカメラマンで、これは僕が撮ったのではないかと思います。
−スライド63−
これはサイゴンです。
−スライド64[1億7000万]−
この数字をご覧ください。これはなんだと思いますか?
1億7000万、日本の人口は1億2600万、多少増えまして1億3000万かな。イギリス、フランス、ドイツ合わせると人口1億6000万くらいでしょうか。1億7000万という数字は、20世紀に戦争で亡くなった犠牲者の数です。
色々な戦争がありました。
第一次、第二次南北戦争、あるいはベトナム戦争、それをトータルしますと1億7000万人の人がこの地球上から消えた。ということは、一世紀の間に日本の国が吹っ飛んでしまった。イギリス、ドイツ、フランスの3国が吹っ飛んでしまったということを意味する。
そして感じてもらいたいのは、その数字の重さです。戦争というものが「ムダに人の命を奪っている」。
それでいいのか、戦争をなくすという努力をもっと我々はしなければいけないという象徴的なことで、今日私がここへ来たのは、この数字を皆様方にお示ししたいと、考えていただきたいと思ってやってきました。
私の講義はここで終わりますけれども。したがって、その教訓は何かというとやはり歴史に学ばなければいけないだろうと思います。
そして、つまり今の日本の動きは、歴史に学ばないで動いているのではないか。二度とあの戦争は繰り返さないということで、今の僕が心配しているのは、戦争を知らない世代というのが日本の政治を牛耳っていくと得てして、歴史から離れた行動に移りやすいと思います。
「戦争を知らない子どもたち」という歌がありましたが、あのころにはこういうことを感じていたが、今の若者たちは何を考えているのかというふうに思うわけで、ぜひ歴史に学ぶということを考えていただきたいと思います。
−スライド66−
これは参考資料です。
「美しい国へ」という安倍さんの本がありますけれども、面白いといえば面白いけれども、僕はやはり安倍さんもまた、「戦争を知らない世代の政治家だなぁ」と危惧しております。
以上、長々とおしゃべりをさせていただきましたが、これで終わらせていただきます。
−スライド58−
もうひとつありました。
これはインターネットで昨日見つけました。「あなたならだれに投票しますか?」ということで、トップはなんと麻生太郎、70%、安倍さんが9.13%、谷垣さんが20%、というちょっとしたジョークですが。
では、これで終わります。
この内容は2006年9月22日ホテル横浜ガーデンで行われた講演を記録したものです。講演者の話の趣旨はなるべく忠実に伝えるように心掛けていますが、文章化するにあたり、その性質上多少異なる場合もあります。尚、記事の掲載に誤りのある場合は講演内容を優先するものとし、お詫び申し上げます。
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