第22回講演(1/5ページ)
今後の政局と日本の展望 「第42回衆院選を振り返る」
今の政治経済はIT革命のように日進月歩で動いています。今後の政局と日本の展望を考える時、この流れを読む場合に最近の選挙の結果が材料になります。26日付け朝日新聞の朝刊の世論調査によると現在の森政権に対する支持率が先月と比べて29%から8%下がって21%になっています。サミットで若干上がりましたが非常に低迷しています。平均20%と言うのが森政権に対する支持率です。他国と比較すると、この数字は政権支持率としては危険水域に入っています。英国ではブレア労働党政権が97年5月の発足当時は80%近くありました。それが、公約がなかなか実行できないとか、息子のアルコール中毒のスキャンダルがあって最近若干落ちてきました。それでも50%ちょっと切る程度です。これでもブレア政権の人気が落ちたと英国の新聞では盛んに書き立てられました。雑誌の『エコノミスト』でも指摘されています。これを考えると21%の支持率がどういうものか判断できると思います。
森政権の不支持率が51%から59%に増えました。自民党を支持する層でも森政権支持が59%から52%に下がってきました。そして40から50%ある無党派層が、12%あったものが8%に落ちてきています。
現在の連立政権に対する評価は自・公・保で良いとするのが20%。自民党を支持する層でも41%から34%に減りました。連立が良くないと答えているのが53%と、半数以上になっています。
現在、政権能力があると判断されるのは自民党と民主党です。その政党支持でみると、自民党が31%から28%に減少しています。民主党も19%から16%に低下しています。支持政党なしが26%から34%に増えています。そして無党派層を加えると41%になります。
民主党に対する期待度は全体で38%。期待しないが46%。そして民主党支持者でみると78%が期待し、期待しないが18%。これが国民の政治に対する意識であると思います。
今後の政局を判断するために第42回衆院選の結果を振り返ってみようと思います。選挙分析の専門家も今回の選挙結果は非常に難しいとの判断を下しています。その中で新聞、雑誌等がコメントを出していますが、それによると次の3点が指摘できます。
1に都市化の進んでいない町村区で自民党は巨大なパワーを持っていること。2に公明党が自民党に対して選挙協力をした効果が抜群であった。3に民主党が自民党の代替勢力としての可能性が見えない。この3点は分析結果から出てきたものですが、私の印象を2点付け加えると、一つは与野党問わずに何年かの間に少々変化した政党が負けている。与党で負けたのは公明党ですが野党から与党に変じた。そして自民党に引きずられて中央左派の政策を歪めてしまった。
例えば自・自で進めていった通信傍受法、国歌国旗法の成立とか、新ガイドラインとか、本来ならこのような法案には消極的でした。野党の時代であったら盛んに自民党を攻撃していたはずです。自民党との連立で、結果として負けているのです。
野党では社民党が19議席と若干ですが増えています。小沢自由党も増えました。民主党は大幅に増えました。大きく減らしたのが共産党です。本質は変わってないと思いますが、以前から比べてだいぶ柔らかくなりました。盛んに民主党と連立を組みたいというような変わり方をみせています。変化をしている政党が負けて、主張を変えない政党が勝利しているのです。
また、女性が多数当選しました。衆参で78名となりました。なかでも社民党が女性候補を多く当選させ19名の内10名となっています。女性の進出は10%程度ですが、未だ少ない。なぜなら、世の中、男女半々の世界です。政治の世界でももっと女性がいてもいいはずです。特に福祉の問題などは女性特有のテーマとなってきます。スウェーデンなどは法律で何%以上が女性でなければ駄目と言われています。従って半数近くが女性で占められています。口先だけでなく、そういう社会を目指すべきでしょう。
第22回講演(2ページへつづく)
|