第21回
2000.4.20 シャトレー・イン横浜

ヴァージンウェア(株)代表取締役社長
(株)中松商会 システム技術長 兼 経営企画室長
東海大学工学部経営工学科 非常勤講師
河井完治先生


1965年8月 東海大学工学部経営工学科卒業
1965年8月 日本電気株式会社入社
1985年7月 販売促進部長就任(同上)
       システムの開発、販売促進、営業及び、コンサルタント業務を担当
       1996年1月-1年間 ナスビイ株式会社出向(取締役)
1998年8月 (株)中松商会入社 システム技術長 兼 経営企画室長
1998年10月 ヴァージンウェア(株)代表取締役社長就任

主な著書
情報処理技術者試験2種用語集


第21回講演(1/4ページ)

 

「IT革命の現状」

 

 私は、NECに入社してからコンピューター関連を担当し、一時SEもやり、販売促進や営業を3年間経験しました。コンピューターは、値引きがすごくてなかなか儲からない。そこで、コンサルタントをやりながら売ろうというアイディアがありました。研修の中で経営コンサルタントを養成しようと話が出ました。それで、企画コンサルタントという社内資格を作りました。一番最初にそれに受かり、6か月程経営コンサルティングの勉強をさせて頂きました。そんなことがあって、会社にいるより自分でやってみたいな、と思うようになり、今、自分で10人ちょっとの小さな会社をやっています。実際には、それではまだ管理できないので、中松商会という会社に社員という形ではなく、コンサルティングという形で入って、開発関連などに携わっています。中松商会は、通信器材でNECの一番の販売店なんです。売り上げ300億、社員250人の会社です。このまま商社でやっていくのは難しいので、今、事業改革に入っています。パソコンだけではなくて、通信規格の半導体とか器材を売るほかにインターネット事業など、そういうところに今、入ろうとしてコンサルティングも兼ねて活動しております。
 それで今日は、インターネットの仕組みとか機能を企業にどう使うか、また、今後、インターネットがどうなるのか、お話ししていきたいと思います。
 インターネットとには、色々言い方があるという切り口から説明します。もともとは、アメリカの全米科学財団が出費した、大学、技術、研究所向けの、NFSnetというネットワークがあり、それにつながっているものを、みんなインターネットと言うのが最初のスタートでした。
 特徴は、通信をするときに通信プロトコルが「TCP/IP」というものになってます。こういうものを使っていますよ、というルールを作った。プロトコルというのは結局きまりです。電話で言うと「もしもし」と、相手につながったかどうかを確認します。そして例えば「中松商会の河井です」と、こっちの名前を先に言ってから向こうが誰かを確認する。そういうやり方です。電話と同じようにデータ通信でも、同じルールでやり取りをしないとわからない、それで決めたのが通信プロトコルです。それの「TCP/IP」という、名前になるものを作ったんです。それでネットワークを結ぼうとしたんです。
 実際にそれまでは、例えば各メーカーだと、JISとの規格があって、メーカーのNECならNEC、IBMならIBMの通信のやり方は全部違っています。今でも違うものがあります。
 業界によりますが銀行関係ですと、銀行特別の手順があります。そういうように通信プロトコルというのは、色々な種類があり、ここではこれを使いましょうというのは決めている。これで、さらに普及してきたのは、今までは通信するのに色々なプログラムをその都度作っていました。それが、できたものを持ってきて作ればいいということになって、急激に安くなったり、それもハードの中に組み込んだりと、色々なことが進んできました。これが、インターネットの市場です。
 インターネットの元々のネットワークはアメリカです。プロバイダーという、ネットワークにつなぐサービスをする業者が出てくる。それが、日本だったら日本のまたそういう業者をつないでいく、日本では、IIJとかです。今では、これよりもっとたくさん増えています。それから、その下にまた2次プロバイダーがあって3次があります。それで最後に、ユーザーである個人や会社につながっている。こういう形で世界がつながっています。

 

 ここでちょっとインターネットの歴史に触れてみたいと思います。
 インターネットというのは最近できたものというのを知っておいて頂きたい。1986年の全米科学財団(NSF)の前に、1969年に米国国防省が軍事用に結んだネットワークがあり、それからできました。日本では、1984年に慶應大、東工大、東大の三大学を結ぶ研究のネットワークから始まったんです。1990年にはアメリカで商用インターネットサービスが開始されました。今までは、大学とか研究機関がつないで、研究のためだけに使っていたネットワークを今度は商売につなげて欲しいと、利用目的を規制する制限をなくしたんです。商業用で作ってもかまいません、ということになった。それで、一躍アメリカの中で広まりました。そして、個人でインターネットを利用することが、爆発的に普及してきたんです。
 日本には、それから3年遅れて入ってきました。ですから、アメリカでもまだ10年。日本ではまだ7年しかインターネット関連のことは進んでないんです。大学ではその前からありましたが、商用としてのインターネットの使用は、日米は7年と10年。ただこの3年の差というのは、10年の中の3年ですから、そうとう、アメリカに主導権を握られているというようなところはあります。

 

 インターネットではいろんな機能が使われてます。一番よく使われるのは電子メールです。これは、今までのパソコン通信のメールと違って、文字だけではなくて静止画、動画が送れるというのが特徴です。
 WWWとはワールドワイドウェブという、要するにホームページです。それで、それはホームページの中の書き方があります。ハイパーテキスト形式、HTMLという言語で書かれた文章になっています。これを見るためには、また、プラウザーというプログラムが必要になります。そういうものができて、いろんなホームページが見られるんです。あと、基本的にはファイルを転送するという、幾つかまとまったプログラムとか、大きなデータとか、そういうものを転送する機能があります。
 最近では、音楽配信など出てきましたが、それも多分こういう機能を使ってやるんだろうと思います。
 それからもう1つ、リモートログインというものがあります。これは、例えばインターネットを通して、家や出張先のホテルから会社のネットワークに入り、会社のコンピュータを使うという機能です。これはいい機能ですが、ハッカーなど外部からの侵略ということがあるので、非常に使うのが難しい機能だと思います。
 それ以外にも、情報検索とか、オーディオとか、電話とか、ネットニュースとか、色々あります。 
 その中で、電子メールがあります。「kawai@honsya.nakamatsu.co.jp」これはよく見られる形ですが、一番後ろが国になります。「jp」でジャパンです。しかしアメリカには、アメリカが中心ですからこれがないんです。どこも2ケタでついています。その前の「co」というのは企業です。大学とか研究機関は「ac」になります。それから、ネットワークの管理者は「ad」、政府などは「go」になります。そして、ネットワークサービス接続者、(プロバイダー)は「net」になります。ですから、ニフティーなどは最近「com」(コム)にもなっていますが、ビッグローブとか、ソネットとか、プロバイダーはみんな「ne」になっています。それ以外は「or」になっています。
 さらに、その前が組織の名前、ここでいう「nakamatsu」が入ってきます。ここまでが普通です。そして、その前の部分、ここでいうと「honsya」この名前が入っていますが、普通はないところが多いんです。しかし大きい組織だと、例えば本社とか大阪支社とか、東海大学も「U」とか入っています。そして@(アットマーク)があって、その前に個人の名前が入る仕組みになっています。今のが住所だと思って下さい。これは、一括に全部を管理しているのではなくて、例えば「kawai@nakamatsu.co.jp」、先程言った様に、日本の企業で中松という会社で河井という人。「jp」という中央局があって、そして、「co」とか「ne」とか色々支局があって、その下に中松とか、こっちは、Hi-hoといったプロバイダーとか、そういうふうに分けています。
 私が自宅で使っているのはHi-hoというプロバイダーのアドレスです。例えばサブドメインで「co.jp」の場合は、この「nakamatsu」の中で探すんですが、「ne.jp」ですと、「co」ではなく、その先の一番上まで戻っていって「ne」の中で今度は、Hi-hoはどこだと探すわけです。そしてその中から、「kawai」を探します。アドレスを探す方法としては、こういうやり方があります。
 次にホームページの情報検索。WWWというのがあります。このことをURLと言います。一般的にホームページを見る時には、だいたいこんな形で、http://www.semiken.xxx.ne.jpといったURLを入力します。「www.」の後ろから「jp」まで、これは基本的にはメールアドレスと同じです。

 WWWの特徴で、ハイパーテキストがあります。1つのホームページがあって、色が変わっているところにマウスを持っていき、手の形に変わるところをクリックする。例えば、セミの絵をクリックするとセミの説明文が出てきます。また新しくページが出てきます。そこの中のアブラゼミとかジージーという鳴き方だとかの部分が色が変わって、そこをまたクリックすると、アブラゼミの絵が出てきたり、写真が出てきたり、ジージーと音が聞こえてきます。要するに文章だけでなくて、絵や音が全部入れられます。興味があるところだけ探すこともできるわけです。
 セミ研究会のホームページのアドレスがあって、ここも色が変わります。ここをクリックするとセミ研究会のホームページへリンクするというような仕掛けにもなっています。これをハイパーテキスト、HTMLと言います。

 

 基本的なことがわかってきたところで、「じゃあインタネットにつなぐにはどうしたらいいか」ですが、個々のインターネットは電話に近いネットワークで、それに必ずどこかのプロバイダーが接続のお手伝いをしています。
 大きくわけて3つあります。
 1つ目は、家庭でやっているパソコン1台1台を電話線を使い、モデムでアナログデータに変換して、プロバイダーとつなぐやり方。最近はNTTのISDN通信回線があります。それだとTAI、LAN型アダプターというのを通してつなぐ。電話線というのは交種回線ですから、その都度、必要な時だけ電話してつなぐというやり方です。こちらからつなぐので、よその人がつないでくるということはないんです。ただホームページを見たり、メールをやるだけです。
 2つ目は、小さい事務所だと、コンピュータとコンピュータ、パソコン同士をLAN (ラン)という形でローカルエリアで結んで、一緒に使う方法があります。その時でも、必要なときだけつなぐのであれば、ISDN回線に、今度はダイアルアップルータという、要するに、つなぐときだけダイアルしてくれる機械を通してプロバイダーにつなぎます。
 3つ目は、企業でやる場合で、ホームページまで自分のところで作って見せたいという時には、専用線でつなぎます。専用線ならいつでもタイミングが合うときにつなげます。専用線を結んで、そこの中にホームページを入れておくコンピュータがあります。あと、外と結ぶときに社外LAN があり、その間に、ファイアーウォールというのがあります。これは、いつもインターネットを通してどんどんアクセスしてきますから、自分の社内のコンピュータに入り込まない様に「ここからは入れないよ」というようにしておく訳です。

第21回講演(2ページへつづく)